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■なぜ地域で味噌汁の位置は違うのか?
「マナー」というのは、習慣によってつくられた美徳です。ならば、習慣が違えばマナーが違ってくるのも当然。関東は武士の町、関西は商人の町として発展したなごりは今のわたしたちの暮らしにも多く残されています。関東と関西で、「良し」とされ求められるものが違うのは、そういった理由が挙げられます。
・関西と関東では定番の位置が違う

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まず、どう違うのかご説明しましょう。関東では味噌汁を右手前に置く場合が多いですが、関西では左奥に置く場合があります。特に、大阪・京都・兵庫の3府県では、7割近くのひとが、味噌汁をご飯の奥の左側に置くと答えているアンケート結果もあるそうです。
味噌汁は右に置くもの(もしくは左に置くもの)と思い込んでいると、違った配膳をされたときに戸惑ってしまいます。中には、それで「マナー違反だ!」と腹を立てるひともいるでしょう。
しかし、なぜそのような配膳になったのか、そこに至る文化的背景を知っていれば、無駄な争いは避けられるかもしれません。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ともいいますが、知らぬことが「恥」につながってしまう場面は、大人の社会では往々にしてあります。
・関西人の合理的な気質

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慣れていると気づきにくいかもしれませんが、右側に味噌汁が配膳されていると、食べるときに無駄な動きが多くなりがちです。奥の主菜を取るときに味噌汁が邪魔で右手を大きく動かさねばならなかったり、逆に味噌汁を飲むときは遠いので左手を大きく動かさねばならなかったり…。そうしているうちに、うっかり味噌汁をこぼしてしまう、なんてことの原因にもなりかねません。
その不便さやもどかしさを嫌ったのが、タイム・イズ・マネーが信条の商人精神溢れる関西人なんですね。「時は金なり」とはよくいったもので、大切な時間を無駄なことに費いやしたくないとする合理主義の結果が「左奥」の配膳を生み出しました。
また、それ意外にも商売の手法として、主菜を目立たせるために味噌汁を左奥に置いている、という説もあります。関西では、食事のメインとも呼べる主菜のボリュームを売りにする店が多く、そのためもっとも見栄えがいいように主菜が手前に置かれ、結果的に味噌汁が奥に置かれるようになったんだとか。
ちなみに、大阪は味噌の消費量が全国的にみて少なく、もともとあまり味噌汁を重要視していないため奥に置かれた、なんて説もあります。これも関西人が味噌汁を左奥に置いた理由の裏付けにはなっていますが、実際のところは、はっきりとした答えはわからず、諸説あるというところに落ち着きます。
・最近は地域差もなくなってきている

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違いがある一方で、全国展開しているとある大手定食チェーンでは、配膳は地域によって変えることはせず、味噌汁の配膳位置は「右手前」で統一しているそうです。小中学校の家庭科の教科書を見てみても、地域によって味噌汁の配膳位置が異なることはなく、「右手前」で統一されています。「左奥」というのは、あくまで便宜上あとから生まれたものともいえるでしょう。
■ご飯の位置が味噌汁の左である理由
味噌汁があれば、そのとなりには白いご飯。日本人にとって当たり前ともいえる食卓ですね。この2つは切っても切り離せない関係といえるので、一方だけを語るのもおかしな話。見方を変えて、今度はなぜご飯が左側に置かれるのかをご説明します!・米を尊ぶ文化

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昔から日本人にとって、お米はとても大切なものでした。食べるためだけではなく、通貨のようにも用いられ、年貢として納めるなど、価値が高かったことは言わずもがなです。お米の収穫量が、その土地の評価基準にもなっていました。
貴重なエネルギー源でもあるご飯は、食卓の「主」。そして、味噌汁のような汁物はあくまでも「従」という考えのもと、一番手に取る回数の多いご飯を左側、そして汁物が右側となるのは、自然な考えともいえます。
・「左上位」という考え方

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そして、日本には古く飛鳥時代より「左上右下(さじょう・うげ)」というしきたりがありました。これは、遣唐使などを通じて広まった中国の思想です。
皇帝は、不動の北極星を背に南に向かって座るのがよしとされており、その場合、陽は皇帝の左側である東から昇りますよね。沈む西より昇る東側が尊ばれ、結果的に左が右より上位にあたるとされる思想です。
そのため、昔の冠位も「右」大臣より、「左」大臣の方が役職が格上なのです。その流れで、今の国会も、左側には貴族院の流れをくむ参議院の席が配置されています。ほかにも、着物の合わせや障子やふすまのはめ方にもこれらの鉄則は生きています。
なので、食卓でももっとも重要な「主」であるご飯は、左側という考えです。
余談ですが、西洋ではこれが逆です。英語で右をさす「right」は「正しい」という意味であり、これにより「右上位」がマナーとして定着しています。
・「陰陽思想」の考え方

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また、同じく中国から伝わった「陰陽思想」という自然哲学の思想の影響もあります。これを用いると、神羅万象つまり宇宙にあるものはすべてが説明できるという考えです。太陽は陽、月は陰などといったように、ありとあらゆるものを陰と陽の相反するものに振り分け、その調和から世界は成り立っているとされたものでした。
ちなみに、東と南は陽で、西と北は陰。春と夏は陽で、秋と冬は陰。上と左は陽で、下と右は陰とされています。
陰と陽はどちらが優れているということではありませんが、比較的陽のものを主としてとらえる傾向がありました。なので、このような理由から、ご飯は陽で、味噌汁は陰。よって、左側にご飯、右側に味噌汁を、ということになったと言われています。
・右側に置くことはお供えのマナー

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また、宗教により違いはありますが、ご飯を仏壇へお供えする場合、多くが左側にお水、右側にご飯を置きます。なので、これと同じ置き方に配膳することはよしとされていません。
・右利きの人は左手でお椀を持つため

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思想や理念に基づくこともありますが、単純にご飯が左側の方が食べやすいだけと感じるひとも多いでしょう。しかし、それはあなたが右利き・多数派だからです。
本記事でも、ここまで右利きの方を対象に話をしてきました。左利きの方はおおよそ人口の10%程度しかいないといわれていて、日常のあらゆるものが右利き用に作られています。左利きには左利きにしか気づきにくい不便がそこらじゅうに転がっているのです。
なら、左利きのひとには右側にご飯、左側に味噌汁を出すべきか、という話になりますが、前述の通り逆の配置はお供えものと同じ配置になってしまうためタブーとされています。なので、左利きの方に配膳するとわかってる場合は、箸のみ向きを変えて出すのがいいでしょう。
・茶碗をまたいで汁物を取るのは無作法

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ご飯、汁物、小鉢などは、胸元まで持ち上げて食べることが許されています。しかし、その際、汁物を取るときに、思想により上位に当たるご飯をまたぐのは無作法になるとされています。
■味噌汁とご飯を中心とした一汁三菜の基本の位置
「一汁三菜」とは、ご飯・汁物(一汁)、そして主菜・副菜・副副菜(三菜)からなる現在の和食の献立の基本とも呼べるものです。これにそって献立を立てれば、体に必要なエネルギーがバランス良く摂取できるとされています。そして、一汁三菜にはそれぞれ役割と配膳の位置が決まっています。

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・主食【ご飯】
左手前に置きます。エネルギー源でもある炭水化物。和食では主にお米。
・一汁【味噌汁・お吸い物】
右手前に置きます。水分補給の役割も担います。
・主菜【刺身・揚げ物など】
右奥に置きます。タンパク質をメインにしたおかず。主菜が、頭と尾のついたままの魚(「尾頭つき」)の場合は、頭を左にして盛り付けることも覚えておいてください。これも「左上右下」の観点と、食べやすさからです。
・副菜【蒸し物・焼き物など】
左奥に置きます。食物繊維やビタミン、ミネラルを含んだ野菜や海藻などを使ったサブおかず。
・副々菜【和え物・煮物など】
主菜と副菜の間に置きます。副菜と同じくサブおかず。
・香の物【漬け物】
主菜と一汁の間に置きます。香の物は、おかずとしてはカウントせず、あくまで添え物として置きます。
・麺類の場合は?

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明確なマナーやルールはないようです。しかし、定食などでほかの丼ものとセットで出される場合、「主」が左・「従」が右のルールにより、ご飯が左側、汁物(麺類)が右側という配膳が多いようです。
また、そばちょこなどは、麺の右側に置く場合が多いですが、これだと食べづらいので、逆に置かれることもあります。
・デザートや飲み物の場合は?

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料理と一緒に配膳するときは、和菓子などのデザートは左側、酒やお茶などの杯や湯呑みは右側に置きます。
・洋食の配膳

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ご家庭で洋食を配膳する場合であっても基本の配膳位置は変わらないと考えてよいでしょう。左手前にパンやライス、右手前にスープ、奥にメイン。主菜と副菜をまとめてワンプレートに盛り付ける際もこの考えを基準にできます。
■楽しい食事の時間がなにより!

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さまざまな理由から、現代の日本でも味噌汁は右側に置くことが、おおむね正しいとされています。しかし、昔ながらのマナーも大切ですが、家庭では臨機応変に対応するのでもいいかもしれません。普段の食卓は、片肘張らず、おいしく楽しく、それが一番です!

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