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【小さなお店 #4】蔦だらけのテントを目指して。看板のない洋菓子店

出かけた先で出合ったとびきりディープなお店。近所でひいきにしている「売り切れ御免」のおいしいパン屋。誰かに言いたい!だけどやっぱり内緒にしておきたい……。この連載では、そんな、見つけたことを大切にしておきたくなるような「小さなお店」を紹介しています。



今回ご紹介するのは、わたしが引っ越し先を探していたときに出合った、小さな洋菓子店。次に来たときもちゃんとあるかな?夢だったんじゃないだろうか?確かに味わいは記憶されているのに、なんだか幻だったような気がして。いまだに扉を開けるときには、物語の中へ入っていくような感覚を覚える、不思議なお店です。

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創業1968年。洋菓子店〔ローラン〕、まもなく50歳

京王井の頭線の三鷹台駅。長年、ほとんどその様子を変えない、とても静かな街。そんな三鷹台駅からほど近くに洋菓子店〔ローラン〕がオープンしたのは、昭和43年(1968年)5月のこと。

三鷹台駅から井の頭公園駅方面へ、線路と平行して続いている道を少し歩くと、右手に蔦で覆われた青いテントが現れます。草木が元気な時期は、青いテントが見えないほど蔦に覆われていることも。



看板はありませんが、扉を開けた正面には、晩年を調布市仙川で過ごしたという武者小路実篤の筆による「露印蘭(ローラン)」の書が、まるで店番をしているかのように存在感を放っています。
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