酒粕は正しい方法なら長期間保存できる!健康・美容効果や調理法も紹介
2021年3月9日 11:00今回は健康や美容の観点からも注目されている、酒粕のことを解説します。
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目次 [開く]
■形状で選べる!酒粕の主な種類
酒粕は日本酒を作る際、もろみから絞ったときに出る固形の部分です。絞ったときに液体の部分は日本酒になり、固形の部分が酒粕となります。この酒粕には形によって呼び方も変わりますので、どのような形状があるのかを説明していきますね。・板粕
酒粕を板状のままで切ったものです。厚みがあって固いので、料理に使うときには少しの時間、水につけて柔らかくする必要があります。色は白っぽいです。
・バラ粕
板粕を作る段階で機械からはみ出してしまったり、柔らかくて板状にならなかったバラバラの細かい状態にしたものをいいます。細かくなっているので、少量だけでも手軽に使えます。味や色は板粕と変わりませんが、板粕にくらべて柔らかく溶けやすいので、どんな料理にも使いやすいのが特徴です。
・練り粕
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板粕やバラ粕を水や焼酎に浸してから、練ってペースト状にしたものです。ペーストになっているため量の調節がしやすい上に溶けやすく、漬物や汁物などの調理に使いやすくなっています。スーパーでも1年中出回っていて、手に入りやすいのも特徴です。
・踏込粕
別名「土用粕」ともいって、できた酒粕を半年ほど寝かせて熟成させたものをいいます。地方によっては踏込粕のことを練り粕と呼ぶところもあります。熟成させることでコクやうま味が出ますので、奈良漬や粕漬けに使われることが多いです。色は茶色く、ほかの種類のものに比べると味噌に近い色合いになっています。
もともとの名前の由来は、酒だるの底に沈んだ酒粕を、10日間以上足で踏み込んで作ったことからきています。奈良漬けの中には、10年以上熟成されたものが使われることもあるそうですよ。
・粉末状
酒粕を乾燥させて細かく粉砕してパウダー状にしたものです。商品化されているものには、レモンなどの風味がつけられているものもあります。水に溶かすなどの下処理が必要ないため、手軽に使うことができるのが特徴です。
ふりかけるだけなのでふりかけと同じように使うこともできますし、トーストのトッピングなどにも簡単に使えます。酒粕は使い方がめんどくさいけど食べたい、という人にはうってつけですね。
■酒粕を保存する際の注意点
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買った量が多くて1度に使い切れなかった酒粕を、また日にちを開けて使いたいときもありますよね。保存したいけどどのような点に注意すればいいのか分からない、といった疑問を解説していきます。
・空気との接触を避ける
フリーザーバッグなどの保存袋に入れるときは、空気をしっかり抜くことが大事です。基本的にはアルコールが含まれているため日持ちする食品ですが、空気に触れるとアルコールが飛んでしまい、そこからカビが生えてしまうことがあります。
・高温・多湿を避ける
温度が高いと酒粕の熟成が進んでしまいます。熟成が進みやすい温かい環境に置かないようにしましょう。直射日光が当たるところや、キッチンの中でも温度が上がりやすいガス台や、冷蔵庫の脇などは避けるべきです。すぐに使う予定がなければ、冷蔵保存や冷凍保存が望ましいですね。
■酒粕の保存方法~常温編~
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酒粕は日持ちする食材のため、条件が悪くなければ常温で保存できる食品です。ここでは常温の保存方法について説明します。
・常温保存のメリット
固くならず柔らかいため、使いたいときに使いやすいのが最大のメリットです。使いたい分量もすぐに切り分けられ、火にかける時間を短縮できますよ。熟成が進みやすいため、風味の変化を楽しみたい人にもおすすめです。熟成が進むと白色からピンク、茶色と色も変化していきます。
初心者よりも何度か保存を経験をした人の方が、熟成スピードのコツなどをつかみやすいため、あまり保存の経験がない人は、まずは冷蔵か冷凍で保存するようにしましょう。
・おすすめの保存方法
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気温が高いところだと熟成が進んでしまいますので、家の中でも涼しくて日光の当たらない場所に必ず置くようにします。上の章でものせましたが、部屋の中には日が当たらなくても温度が上がりやすい場所があるので、そういったところは避けるようにしましょう。開封済みのときは、酒粕が入っていた袋のまま、空気を抜いて口元をしっかりしばります。
とはいえ、夏の暑い時期は熟成が早く、とくに開封したものは菌が混入して繁殖する心配もあるので、常温での保存はやめておいた方が良いですね。冷蔵庫や冷凍庫での保管をおすすめします。
・賞味期限は?
未開封であれば3~6ヶ月日持ちします。開封してしまうと短くなってしまいますので、使いきれる分だけを常温で置いておくのが良いですね。開封後は2週間以内に食べきるようにしましょう。
・常温保存した酒粕向けの料理
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常温保存してある酒粕は柔らかいので、甘酒を作るのも時間がかからず簡単にできますよ。
酒粕(板粕かバラ粕)…30g
水(お湯)…200ml
砂糖…大さじ1
- 水を小鍋に入れて沸騰させます。
- 酒粕を手でちぎって鍋に入れ、溶かします。
- 溶かしたら砂糖を入れて味を調整して、出来上がりです。
■酒粕の保存方法~冷蔵庫編~
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常温で保存するよりも長く日持ちさせたいときは、冷蔵保存がおすすめです。冷蔵保存することで酒粕の中の酵母の活動がおさえられるので、熟成をおだやかにすることができます。
・未開封の酒粕おすすめの保存方法
未開封であれば買ってきた袋のまま、冷蔵庫に入れて保存できます。あえて袋を入れ替えたり、下ごしらえが必要ないのは、便利ですね。
・開封済みの酒粕おすすめの保存方法
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板粕やバラ粕、ペースト状になっている酒粕の保存方法は、売られていたときの袋(パッケージ)に酒粕をそのまま入れて、その上からフリーザーバッグのような密封袋に入れ2重にします。密封袋の空気は押し出すようにしっかり抜いて保存します。プラスチックの保存容器に入れておくだけだと熟成が進んでしまうので、袋にしっかり入れるようにしましょう。
冷蔵保存の場合は、低温のため酒粕の酵母菌の活動がおさえられていますが呼吸している状態です。熟成が進むとガスが発生して袋がふくらむことがあるので、そのときは中のガスを抜くようにしましょう。
・賞味期限は?
冷蔵保存したときの賞味期限は、開封前も開封後もかわらず半年程度です。開封しても冷蔵してあれば、同じくらいの期間でおいしく食べられるのですね。冷蔵保存すると熟成のスピードはおそくなりますが、まったく止まるわけではないので風味を変えたくなければ早めに食べきるのが望ましいです。
・冷蔵した酒粕向けの料理
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冷蔵した板粕やバラ粕は固くなっているので、下準備が必要になってきます。この酒粕を使う場合は、最初に30分~1時間ほど水につけてやわらかくする工程が必要です。あとは常温保存した甘酒の作り方と同じように作ります。下準備の手間がありますが、出来上がりは同じになりますよ。酒粕が水になじむまで時間がかかるので、練り粕をつかうのも手です。
練り粕は板粕やバラ粕を水で煮るだけで作れますので、前もって作っておいて使いやすくしておくのもいいです。これは冷凍保存するときも便利ですので、下に作り方をのせておきますね。
■酒粕の保存方法~冷凍庫編~
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たくさん買いすぎてしまって、半年以内に食べきるのは少し難しそうなときは冷凍保存がおすすめです。冷凍保存は酵母のはたらきをとめてしまうので、熟成が進むことはありません。
・ペースト状にすると便利
ペースト状にすると、製氷皿のような容器で小分けにしたり、フリーザーバッグに入れて平たくできます。フリーザーバッグに入れたあと、割っていない割りばしなどで外からはさんで仕切りを作ると、自分が使いやすい量で区切ることができますよ。製氷皿でつくったものは、凍ったらフリーザーバッグのようなものに入れて、空気に触れないようにしましょうね。
ペースト状の酒粕の作り方は、少量の水か酒と酒粕を合わせて煮るだけ。酒粕に水分を加えて、弱火で熱しながら混ぜて、ねっとりとしたら出来上がりです。強火で加熱すると焦げ付くことがあるので、弱火で熱するようにしましょう。
・おすすめの保存方法
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酒粕の形状にかかわらず、ラップにくるんでしっかり密閉してから、さらにフリーザーバッグにいれて中の空気を出します。乾燥を防ぐために、空気になるべく触れないようにするのが大事です。2重にすることで空気との遮断がしっかりできて、冷凍庫内のにおいも移りにくくなりますよ。
・賞味期限は?
冷凍すると、開封後でもしっかり密閉すれば1年ほど日持ちします。1年以上経ってしまっても保存状態が良ければ腐ることはないですが、風味が落ちてしまうのでこれくらいの期間までには食べ切ってしまいたいです。
・解凍時に乾燥が気になったら?
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冷凍すると、酒粕がパサパサに乾燥してしまうことがあります。そんなときは、日本酒につけて解凍することで、酒粕の風味もよみがえります。水を使うこともできますが、もともと日本酒を作る過程でできたものですから、可能であれば日本酒につけるのをおすすめします。
・おすすめの解凍方法
鍋物などにいれるときは解凍せずにそのまま入れて調理できますが、前もって冷凍庫から出して自然解凍すると、柔らかくなって使いやすくなるのでおすすめです。時間が足りないときは、外側の袋の上から流水をかけて解凍しましょう。時間がないときは電子レンジで解凍したくなりますが、そうするとアルコールや風味が飛んで、味が落ちてしまう原因にもなります。できるだけ自然解凍に近い状態で解凍することをおすすめします。
・冷凍した酒粕向けの料理
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冷凍した酒粕ならではの、冷たい変わり甘酒をご紹介します。
冷凍した酒粕…30g
冷凍バナナ…1本
牛乳…100ml
お湯…大さじ1~2
- 酒粕はお湯で30分ほどふやかして、混ぜます。
- 材料をすべてミキサーに入れてスイッチを入れ、混ぜます。
ペースト状になっている酒粕であれば、1の工程を飛ばしてすぐに混ぜることができます。加熱してない酒粕の場合は、アルコールを強く感じることがありますので、子どもや妊娠している人は、気をつけるようにしてくださいね。
今回は冷凍バナナで紹介しましたが、冷凍の桃でもおいしいですよ!季節の果物で冷たいスムージーのような甘酒を楽しんでくださいね。
■酒粕保存時の賞味期限に関する疑問を解決!
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保存方法はわかったけど、賞味期限が気になるところですよね。酒粕は生きている酵母が熟成することによって、時間が経つと見た目が変わってきます。それぞれのケースで疑問を解決していきます。
・味や見た目に変化があっても食べられる?
もともと白かった酒粕が、日を追うごとにピンク色や茶色く変化することがあります。これは酵母菌による熟成が進んだ証拠。傷んで食べられないわけではないので、そのまま調理に使うことができます。しかし、白色としてのイメージが強い甘酒のようなものだと、見た目が損なわれることもあります。色が変化してしまったものは、見た目に影響しないような料理に使う方が良いですね。
・異臭・ぬめり・カビが無ければ期限切れでも大丈夫
酒粕はアルコールが含まれているため、日持ちする食材です。通常、袋詰めから約3ヶ月の賞味期限を設けていますが、保存方法によっては1年持たせることができます。とはいえ、これは酒粕に問題がなかったときのことであって、変なにおいがしたり、カビが生えてしまったときは傷んでいますので、食べることができません。袋から出すときに糸をひいていたり、ぬめりがあるときも廃棄しましょう。
■酒粕の嬉しい効果
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美容や健康によいとされる酒粕ですが、具体的にどのような効果が見込めるのでしょうか。栄養素や効果を紹介します。
・酒粕に含まれる栄養素
タンパク質や炭水化物、亜鉛といったミネラルからビタミンB群と、栄養が豊富に含まれています。タンパク質は牛乳の約5倍、亜鉛はしじみと同じくらい入っています。特に話題になっているのが、酒粕特有のタンパク質である「レジスタントプロテイン」と呼ばれるものです。このレジスタントプロテインは、繊維質と同じようなはたらきをするタンパク質であることから、腸内環境を改善させることが期待できます。
腸内環境が整うことによって、コレステロール値を正常に近づけたり、便通が改善されるといった効果も望めますよ。
また、アミノ酸が豊富に含まれていることから、うま味の宝庫ともいわれていて、料理にほんの少し入れるだけでうま味を増すことができます。
・「酒粕分解ペプチド」の効果
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酒粕には日本酒を作る工程で、米と酵母のタンパク質が分解されてできる「酒粕分解ペプチド」という成分があります。「アミノ酸」はペプチドがさらに分解されたものです。この酒粕分解ペプチドは、コレステロール濃度を下げたり、冷え性を解消してくれる効果が期待できます。
・『酒粕パック』の美容効果
日本酒や麹は昔から肌に良いといわれていますが、実際にどのような効果があるのか、どんな成分が関係しているのか、わかりにくかったですよね。酒粕も美容効果が高いといわれていますが、これは米麹に含まれる「デフェリフェリクリシン」という成分のおかげです。
このデフェリフェリクリシンには、肌のメラニン生成をおさえるはたらきがあり、美白効果が期待できるとのこと。飲んでも効果が発揮される可能性もあるので、内面からもアプローチできるのです。
酒粕パックの作り方は、水で溶いて混ぜるだけでいいので簡単にできます。ツブツブした感触が残って、均等に肌にのりにくいので、その上から湿らせたティッシュやフェイスマスクなどで、ふたをするようにパックするのがおすすめ。液だれの心配もなくなるので、洋服が汚れることもありませんよ。
■酒粕の発酵パワーをもっと身近なものにしよう!
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古くから「なんとなく体にいい」という理由で食べられていた酒粕料理ですが、現在ではさまざまな研究がされて、どうして体にいいのかがわかってきました。たまに甘酒を飲む程度にとどまらず、いつもの食材と同じように常備して食べ続けることで、健康や美容のためになることがわかりましたよね。
そのためには酒粕に合った保存方法で、栄養やうま味をそのまま生かすことが大事です。もっと身近な食材として取り入れて、発酵美人をめざしましょう!
<参考>
厚生労働省 eーヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
月桂冠総合研究所「粕分解ペプチドが肝臓でのコレステロール合成を抑制」
月桂冠総合研究所「酒粕分解ペプチドに冷え性の血流改善効果」
月桂冠総合研究所「米麹に含まれるデフェリフェリクリシンに美白効果を確認!」
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
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