「卵」と「玉子」の違いあなたは分かる?疑問を解決して正しく使おう!
2020年8月19日 11:00使い分けられている以上、それなりの理由があるはずです。
「卵」と「玉子」の使い方については公的機関によって条文化されているわけではありません。今回はこの二つの単語が一般的に使用されている状況を基にしてその違いを紹介します。
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■『卵』と『玉子』の違い
日常よく見かける「卵」と「玉子」、ポピュラーな食材だけにいろいろな場面で使われています。多くの方は「卵」や「玉子」の字の違いに触れても見過ごしているはずですが、その使い分けの意味を知ればイメージしやすく、「なるほど!」と思っていただけると思います。・『卵』は生物学的な意味を持つ
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一般的に「卵」は生物学的な使われ方をすることが多いようです。卵を産むのは魚類、両生類、爬虫類、鳥類、昆虫にクモまでも卵を産みます。卵の構成は異なりますが、すべて卵と呼ばれます。
特に、鳥類のニワトリの卵は日本人にとって長く親しんできた「卵」の代表です。
・『玉子』は食材的な意味を持つ
「玉子」が使われる場合は、卵料理や卵料理用の食材として使用される、主としてニワトリの卵に「玉子」の字が使われているようです。
このように「玉子」は鳥類のニワトリやウズラなどに限定して使用されます。魚類などの玉子は加工の有無にかかわらず「鮭の玉子」「カメの玉子」とは書かれません。この場合は「鮭の卵」「カメの卵」が使われます。
・料理レシピでは『卵』が使われる傾向
もっとも、ザックリとした分け方でいえば、たまごを総括するのが「卵」で、料理で使われたのが「玉子」というみかたもあるようです。
確かに、お店のお品書きでは「厚焼き玉子」「だし巻き玉子」など「玉子」と書かれています。いっぽうで、料理レシピでは「卵2個」「卵は黄身と白身を分ける」などと書かれます。レシピは、調理前の生の段階のたまごなので「卵」が使われ、完成した料理が「玉子丼」や「玉子焼き」になるようです。
■『卵』と『玉子』漢字の由来
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漢字は、約3,500年前に中国で誕生したといわれています。漢字は日本に入ってからも独自に進化して、日本文化形成に大きく寄与しています。それぞれの漢字にはその成り立ちがあり、歴史と文化が潜んでいます。漢字の由来を知ることで、「卵」と「玉子」の使い分けられるようになった経緯も理解できるかもしれません。
・『卵』の漢字の由来
魚などの丸い卵が連なったたまごの形状を思い出してください。丸い殻の中には孵化する子供が入っています。
「卵」の漢字は、丸い中に黒点=子供が入っている、まさに卵の形を表しています。この経緯が「卵」の字の成り立ちの一説になっています。
・『玉子』の漢字の由来
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「玉子」にも漢字が成立した由来があります。ニワトリは2,000年以上前に日本に入ってきたようですが、長く、たまごは食用になっていなかったようです。大昔は、たまごは殻があることから「殻の子(かひのこ)」と呼ばれていました。
平安時代には「かいこ」、「かいご」と呼ばれていた時期もあります。これが、「蚕(かいこ)」と紛らわしいことで、室町時代になると「玉の子」と呼ばれるようになります。玉の子と呼ばれるようになったのは、丸いたまごの形から「玉の子」と呼ばれ、それが「玉子」になったようです。
江戸時代に入ると、「玉子」は日常的に使われるようになり、たまごを食べるようになり、「卵」と「玉子」が並立して使われるようになりました。
・「卵」と「玉子」が付く苗字は?
漢字といえば、日本人の苗字にたくさんの漢字が使われています。日本人の苗字は約30万種類あるそうです。それならば、「卵」と「玉子」が使われている苗字はどのくらいあるのでしょうか?
30万の苗字を全て調べられず漏れがあったらすみませんが、調べてみた限りでは「卵」が使われているお名前は見当たりません。
いっぽうの「玉子」についても、苗字は少なく「玉子石(たまごいし)」さんくらいです。新潟県の湯之谷村に多い名前だそうです。あれだけ、親しまれた「卵」と「玉子」は地名と縁が薄く、苗字としては多くないようです。
■『卵』と『玉子』実際の使い分け
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「卵」と「玉子」が実際に取り扱われている場面を思い出してください。たとえば、スーパーの売り場を思い出してみてくだい。パックに入った生の卵が売られているコーナーは「卵売り場」です。総菜売り場では「玉子焼き」です。
このように、「卵」と「玉子」の区分方法として、シンプルな区分方法ながらいちばん頻繁に使われるのが、卵が生の状態なのか、調理された状態なのかの線引きです。生の状態が「卵」、調理後が「玉子」として使い分けられています。
・生のものは『卵』
卵については、ニワトリの卵だけにとらわれがちですが、卵は魚類の卵、カメの卵、爬虫類の卵などの場合にも「卵」が使われています。
その考えからすると、ニワトリの卵についても同じように、調理される前の生の状態は「卵」が使われるのが順当です。
・調理されたものは『玉子』
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前述しましたが、「玉子」は、ほとんどの居酒屋さんのお品書きでは「玉子焼き」となっています。お寿司屋さんも同様で「だし巻き玉子」となっているお店がほとんどです。まさに、ニワトリの卵を調理した料理名には「玉子」が使われているようです。
例外のケースもありますが、一般的には「卵」は生の状態、「玉子」は調理された状態、この使い分けがもっともポピュラーなようです。
■『卵』と『玉子』単語で比較してみよう
「卵」と「玉子」は、それぞれがさまざまな場面で並立して使われていることがわかりました。もう少し、それぞれの単語について、使われ方の例をピックアップして比べてみましょう。
・『卵焼き』と『玉子焼き』
「卵焼き」と「玉子焼き」は両方が使われていますが、主流は「玉子焼き」です。玉子焼きは卵料理の代表メニューでもあり、明らかに調理された卵ですから玉子焼きになっているようです。
「玉子焼きは」は、玉子の字を説明する場合に例となることが多く、「玉子」を代表する言葉ともいえます。
・『ゆで卵』と『ゆで玉子』
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「ゆで卵」と「ゆで玉子」については「ゆで卵」が多く使われているようです。
「茹でる」も調理の工程であるのですが、不思議と「ゆで卵」が主流なのは、割って調理せずに、主に殻付きのままだからかもしれませんね。
もちろん、ゆで玉子も使われています。
・『温泉卵』と『温泉玉子』
「温泉卵」と「温泉玉子」の違いは、その「おんせんたまご」が作られ販売されている商品名またはブランド名によって違いが出ると推測できます。
こちらも調理がされていますが、多く使われているのは「温泉卵」のようです。これはゆでたまごと同様に、殻付きのまま売られることが多いためでしょう。
■『卵』と『玉子』を使った例文
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料理の専門家や調理師でなければ、「卵」と「玉子」を使い分けているという人は少ないでしょう。
次は、どのようなシチュエーションで「卵」と「玉子」が使われているのか、わかりやすく例文でみてみましょう。
・ひよこの卵が孵(かえ)った
これが、前述したように「生物学的」な使い方ですので「卵」を使用するのが自然です。
「ペンギンはオスが卵を守ります」「トキは3~4個の卵を産みます」などにも、「卵」が使われます。「ペンギンはオスが玉子を守ります」の使用例は見かけませんよね。
・彼は医者の卵だ
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修行中や一人前と認められる前の段階の人のことなどを「〇〇の卵」と呼ぶことがあります。「医者の卵」「役者の卵」「税理士の卵」などの使い方がされます。
決して「医者の玉子」「役者の玉子」「税理士の玉子」とは表記しません。卵から孵化してひよこや幼虫になるわけですから、一人前になる前を卵になぞらえて「卵」が使われています。
・味付け玉子をトッピングする
国民食といわれる人気のラーメン、ラーメンのトッピングといえば「味付け玉子」です。「煮玉子」「味玉」などもあります。「煮卵」が使われているラーメン店は少数派です。「味玉」はありますが「味卵」はあまり見かけません。この例からも、調理をした卵に「玉子」が使われているようです。
■「卵」と「玉子」を使う熟語などは?
みなさんは「卵」が使われる言葉をいくつ思い出せますか?「卵」と「玉子」の違いを知るうえで、それぞれの漢字が実際に使われている熟語を見ると、漢字本来の意味がいっそう理解できそうです。
「卵」が使われるポピュラーな熟語では、排卵(ハイラン)、卵子(ランシ)、卵巣(ランソウ)、卵黄(ランオウ)、卵白(ランパク)、卵生(ランセイ)、有精卵(ユウセイラン)などがあります。生命誕生に関係する組織、臓器に使われていて、この字群からみるかぎり生物学的な単語が多くみられます。
「卵」の訓読みのたまごでは、地卵(ジタマゴ)があります。ここでも、調理前の状態です。
・『玉子』が使われる熟語は少ない!
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「玉子」については、玉子酒(タマゴザケ)、落し玉子(オトシタマゴ)くらいでしょうか、やはり、調理が関係してきます。ただし、卵酒も使われています。「玉子」が使われる熟語は多くないようです。
「たまご」と読む漢字がもう一つあります。「蛋」も「たまご」と読めます。中華料理の皮蛋(ピータン)に使われている字です。皮蛋はアヒルの卵料理です。卵と読めるのもうなずけます。
■みんな大好き「卵」と「玉子」
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「卵」と「玉子」について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?賢明な先人達が生み出し、使い分けてきた「卵」と「玉子」です。
その背景を理解すると実際に使われている状況も理解できるのではないでしょうか?
いずれにしても、生の「卵」も料理した「玉子」もおいしいことには違いはありません。豆知識として知っていると、物知りだねと褒められるかもしれませんよ!ぜひ身近な人に披露してみましょう!
※参考文献※
NHK放送文化研究所 最近気になる放送用語より
漢字・漢和・語源辞典
教えて!たまご先生
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