シナモンとニッキの違いとは?使い分けや味と成分の特徴を徹底解説!
2021年3月10日 11:00香りはよく似ているけど違いはよくわからない、ということがほとんどではないでしょうか。今回は、シナモンとニッキの違いを徹底的に解説いたします。
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■シナモンとニッキの違い
この2つは、どちらも似たような香りがしますが、それは同じ「クスノキ」科の肉桂(ニッケイ)という樹木から取っているものを使っているからです。しかし、それぞれにははっきりとした違いがあり、味も異なります。ここでは、それぞれの特徴と違いを説明していきます。・シナモンの原料
シナモンはスリランカ産のセイロンニッケイの樹皮を乾わかしたものです。樹皮とはいっても表皮ではなく、内側の柔らかいコルクのような皮を使います。この部分は乾かすと丸まるので、その状態がシナモンスティックとして売られています。
歴史は古く、紀元前4000年ほどには古代エジプトでミイラの防腐剤として使われていたことがわかっています。濃厚な香りのためかはわかりませんが、神聖な儀式にも使われていたとみられ、厳粛で正式な場面には欠かせないものだったようです。
・ニッキの原料
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ニッキは日本産のニッケイの根から取った、皮から作られたものです。シナモンのよう甘い香りはしますが、爽やかで強い辛みがあります。日本産のニッケイは生産量が少なく、希少のためシナモンより高価です。ニッキを使ったお菓子の代表的なものとして、八つ橋が挙げられます。
日本にニッケイが伝わったのは奈良時代くらいのことです。樹木が育てられ始めたのは江戸時代で、それ以降盛んに生育されました。東南アジアが原産といわれていますが、沖縄などでは日本の固有種も発見されています。
・シナモンとニッキの違い
シナモンとニッキの違いは、「樹皮か根か」「産地の差」「甘い香りが強いか」「辛みの強さ」の差によるものです。それぞれの差によってお菓子に入れたり、スパイスにするなど使い分けをします。
■シナモンの特徴とは
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お菓子やスパイスに多く使われる、シナモンの具体的な特徴はどのようなものでしょうか。詳しく説明していきましょう。
・甘くて濃厚な香りとマイルドな風味
シナモンは甘く濃い香りがしますが、味に甘味はありません。風味が穏やかなので、トーストにはちみつと一緒にかけて直接食べても嫌味がありません。風味が抜けてしまったコーヒーなどと一緒に飲んでも、おいしくいただけますよ。
・オイゲノールという成分が含まれている
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セイロンニッケイには「オイゲノール」という成分が含まれています。オイゲノールとは、シナモン特有の香りを出す成分で、殺菌作用や鎮痛効果などが望めます。歯医者の麻酔にも用いられることから、鎮痛効果の高さがうかがえますね。
オイゲノールを含んだスパイスにはクローブやバジルなどがあり、虫が嫌う香りのため防虫効果があるといわれています。抗菌や消毒作用もあり、カビを抑えるはたらきもあります。
・お菓子作りに使われる
シナモンはその甘い香りの特徴からも、シナモンロールやパンといったお菓子に入れることが多いです。リンゴとの相性もいいため、アップルパイに入れるとおいしくなりますよ。また、スパイスとして用いられることもあるため、香辛料としてカレーに入れることも多いです。
・飲み物や肉料理にも使われる
お菓子に使われる印象があるシナモンですが、肉料理やカレーなどの料理にも使用されます。仕上げにパラっとパウダーを振りかけるだけで、ふんわりと甘い香りが漂って食欲も沸きますよ。紅茶やコーヒー、ワインにもサッと入れるだけで、いつもとは違った飲み物を楽しむことができますのでおすすめです。
■ニッキの特徴とは
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シナモンと違って根の場所を使うニッキは、同じ樹木でも成分や香りに差があります。ここではニッキの特徴を説明していきます。
・すっきりとした刺激
ニッキも甘い香りはしますが、シナモンほど強くありません。ミントのような香りと、ツンと鼻をつくような爽やかな強い辛みが特徴の香辛料です。
・飴や八つ橋に使われる
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辛みが特徴のニッキ飴はニッキを使ったお菓子の代表的なものですが、子どものときに甘い飴だと思って食べたら、何とも言えない辛みが強くてびっくりした人もいるのではないでしょうか。
八つ橋に使われるのもニッキです。あの風味が苦手で食べられないという人もいるようですが、八橋の場合は生地や中身に甘味が使われているので、辛味はだいぶ軽減されていますよね。ニッキを味わったことがない人は、生八橋を食べてみるとわかりやすいのではないでしょうか。
・作るのに手間がかかる
シナモンは樹木の幹部分の皮を使いますが、ニッキは根の皮を使います。幹の樹皮は2年ほどで取れますが、根の部分は15年ほどかけて育つことから取れるまでの時間がかかります。また、根を手作業で掘り返すことから、生産には手間も必要となります。
もともとは沖縄で自生していましたが、現在は和歌山県や鹿児島県といった温かい地域で育てられています。
■シナモンとニッキの使い分け
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香りは似ているけど、辛みの差から使われるものにも違いが出てきます。ここではそれぞれの代表的な食べ物を紹介していきます。
・シナモンを使った代表的な食べ物
シナモンを使った代表的なものといえば、シナモンロールなどのお菓子。また、カレーなどスパイスを効かせたものがあります。ほかにも、アップルパイ、シナモンを使ったお茶のチャイ、などが有名です。
トーストにバナナをのせてシナモンを振ったり、フレンチトーストに使ってもおいしいです。甘い香りを活かしたものに多く使われる傾向がありますね。
シナモンは香りが強いですが味はあまりないので、バターのような濃厚な風味を持つ食べ物と合わせると相性がいいです。ケーキやクッキーといった焼き洋菓子にピッタリですね。
・ニッキを使った代表的な食べ物
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ニッキを使った食べ物といえば、八つ橋とニッキ飴です。現在では固い八つ橋より生八つ橋がのほうが人気が高いですが、昔からあるのは半円上のせんべいのような固い八つ橋です。この八つ橋にはニッキを粉状にしたものが入っているため、茶色をしています。そして、ニッキ飴は飴といいながらも、甘味より辛みが強い飴です。ニッキに砂糖と水を加えて作る飴は、昔懐かしい味がしますよ。
ほかにも、関西ではニッキ餅やニッキ水といったニッキを使った食べ物が多く存在します。清涼感のある辛みが、暑い時期には合いますよね。もともと京の都に近かった大阪は、葛湯のようなほのかな甘さを好む傾向があり、甘いだけの飲み物だけではなく辛みのある飲み物もよく飲まれていました。昭和の駄菓子ブームのときが一番飲まれていたようですが、現在でも夏になると関西ではよく見られる飲み物の一つでもあります。
■シナモンとニッキの健康と美容効果
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シナモンは古代エジプトで使われていたということもあり、世界一古いスパイスと呼ばれています。もともとはミイラの防腐剤として使われていましたが、漢方といった薬としての用途もあります。食べると健康にどのような作用があるのか見ていきましょう。
・血行促進
血行を促進して発汗を促す作用が見込めます。血行を促して発汗させること作用があることから、風邪の症状を緩和させる漢方薬に含まれていることが多いです。風邪症状の緩和以外の、冷えや肩こりといったものも血流が悪いことから引き起こされるので、これらの症状の緩和も期待できそうですね。
・中性脂肪・コレステロールを抑える
動物実験の結果ではありますが、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を減らす作用が見込まれるとの期待もあります。
・血圧・血糖値の低下
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ニッケイにはプロアントシアニジンと呼ばれるポリフェノールの一種が含まれています。この成分はインスリンの分泌を促す作用があることから、血糖値を安定させることが期待されています。
・抜け毛・白髪予防
血行を促す作用が見込めることから、頭皮の血流もよくなることが期待されます。頭皮の血流がよくなることで栄養がいきわたりやすくなり、抜け毛や白髪といった髪の毛のトラブルも緩和されることが期待できます。
・胃腸を丈夫にする
独特の甘い香りによって食欲を増進させ、消化酵素の分泌を促すことから胃腸を丈夫にする作用も見込めます。漢方の健胃薬には「桂皮」という名で入っていることがありますので、見てみてくださいね。この特徴的な香りは「桂皮アルデヒド」と呼ばれるもので、ガムやアイスクリームなどの添加物にも使われます。
・食べ過ぎには注意!
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血糖値を下げる効果が見込めることから、サプリメントとして販売されていますが、健康によさそうだからといって食べ過ぎはよくありません。シナモンやニッキには「クマリン」という成分が含まれており、大量摂取すると肝障害を起こしてしまうおそれがあります。クマリンが含まれているニッケイは原産国によってかなり異なりますが、大人であれば1日5mgを超えない範囲で食べる分には問題ないといえます。
妊娠中の摂取も心配ですが、香りづけ程度の量であれば問題ないといえるでしょう。それよりも心配なのは、シナモンと一緒に食べるシナモンロールやシナモンティーといったものに砂糖がたくさん使われていること。妊娠中は特に、糖分の摂取にも気をつけましょう。
■シナモンとニッキには明確な違いがあった!
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シナモンとニッキの差はおわかりいただけたでしょうか。同じ樹木でも使う部分が違うこと、香りの成分が違うことなどがわかりましたね。
ニッキは辛みが強いことから、甘味のある食材と合わせることでベストマッチするのですね!健康にもよさそうな成分が入っていますが、くれぐれも食べ過ぎには気をつけて、上手に取り入れるようにしましょう!
現代では、製菓材料だけでなく、スパイスの小瓶でも「シナモン」や「シナモンシュガー」が売っています。自宅でつくる料理に加えやすいので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
《参考》
・山下 陽子、 芦田 均著「プロシアニジンの新たな生体機能調節 プロシアニジンの肥満・高血糖予防効果」
・中谷延二著「香辛料の機能性成分」
・Farideh Shishehbor著「Cinnamon Consumption Improves Clinical Symptoms and Inflammatory Markers in Women With Rheumatoid Arthritis(シナモン摂取による関節リウマチの臨床症状と炎症マーカーの改善)」
・Sung Hee Kim著「Anti-diabetic effect of cinnamon extract on blood glucose in db/db mice(db / dbマウスの血糖値に対するシナモン抽出物の抗糖尿病効果)」
・タケダ健康サイト「桂皮」
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