ワインに酸化防止剤が入っている理由は?無添加との違いも徹底解説!
2021年2月13日 12:00しかし、ワインを飲んでひどい二日酔いに悩まされた経験はないでしょうか。その原因の一つが、ワインに入っている酸化防止剤だといわれています。酸化防止剤無添加のワインも増えているので、「酸化防止剤は体に悪い」というイメージが強まっています。
そこで今回は、そもそも酸化防止剤とは何か、酸化防止剤は本当に健康に悪いのか、さらに酸化防止剤無添加のワインとの違いについて説明します。
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■酸化防止剤とは?
まず、酸化防止剤とは何かを説明します。酸化防止剤とは、「自らが酸化することでほかの食品の酸化を防ぐ食品添加物」です。水溶性と脂溶性に分けられており、ワインに入っているのは水溶性の酸化防止剤です。酸化防止剤を入れることで、酸化によるワインの色や味の劣化を防ぎます。また、殺菌効果も得られます。ワインの原料となるぶどうの果皮には雑菌が付いています。雑菌が付いていると発酵しなかったり臭いが発生したりして、質の高いワインができません。そのため、酸化防止剤はワイン作りに欠かせない存在といえます。
・ワインに含まれる酸化防止剤は亜硫酸塩
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ワインのラベルを見ると、亜硫酸塩という酸化防止剤が含まれているのが分かります。亜硫酸とは、二酸化硫黄(SO2)と酸素(H2O)が合わさったもので、ワインに含まれる理由は原料であるぶどうが発酵する際に自然発生するためです。
品質を維持するため、ほとんどのワインに追加で添加されていますが、法律で人体に影響のない量と定められています。また、添加した亜硫酸塩は、糖などのほかの成分と結合して半分は無害になるといわれています。
・いつ酸化防止剤を添加するのか
酸化防止剤は、アルコール発酵の時とボトルに詰める前に添加するのが一般的です。前に述べた通り、ぶどうの果皮には雑菌が付いているので、亜硫酸塩を添加することで菌を殺すことができます。また、ボトルに詰める前はワインが酸素に触れるため、きちんと対策をしないと酸化してしまいます。
ぶどうの果皮に雑菌が付いていたり、酸化したりすると質の高いワインを作ることができないため、アルコール発酵時とボトルに詰める前に酸化防止剤を添加することで、ワインの質を保っているのです。
・ワイン以外に亜硫酸塩が入っている食材
亜硫酸塩は、実はワイン以外にもさまざまな食材に使われています。ストレートティーや卵、酢、ブロッコリー、キャベツなどにはもともと含まれています。また、ワインと同じく添加物として亜硫酸塩が使われている食材は、ジャム、缶入り野菜、酢漬けの食品、ドライフルーツ、冷凍フルーツ・野菜などがあげられます。
ちなみに、EUにおける亜硫酸塩の最大含有量の規定は、赤ワインが150mg/Lで最も低く、辛口白・ロゼワインが200mg/L、最も高い種類の極甘口ワインでも400mg/Lです。一方でドライフルーツは2,000mg/Lもの亜硫酸塩が含まれているといわれているので、ワインに含まれている亜硫酸塩は決して多くありません。
■ワインに酸化防止剤を入れる理由
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ここまで、酸化防止剤(亜流塩酸)とは何かを説明しました。漠然とした「酸化防止剤(亜流塩酸)は健康に悪い」というイメージが少し変わったのではないでしょうか。ワインに入っている酸化防止剤(亜流塩酸)の量は、人体に害のない量と決まっており、ワイン以外にも亜流塩酸が含まれている食材は多数あることもお分かりいただけたと思います。
ワイン作りに酸化防止剤は欠かせないとお伝えしましたが、具体的に酸化防止剤の役割とは何か説明していきます。
・ワインを酸化から守る
酸化防止剤の理由の1つ目は、「ワインを酸化から守る」ためです。ワインの成分が空気に含まれる酸素に触れることで酸化し、味わいと香りが変化してしまいます。
そこで、ワインに亜硫酸塩を添加することで酸化を防ぎ、味わいと香りの変化を緩やかにするのです。
・有害菌の繁殖を抑える
2つ目の理由は、「有害菌の繁殖を抑える」ためです。発酵タンクには腐敗菌やカビ、バクテリアなどの微生物が潜んでおり、ワインの味わいや香りに影響を与えます。酸化防止剤には、これらの有害菌の繁殖を抑える効果があります。
・黒ブドウ糖の色素を安定させる
3つ目の理由は、「黒ブドウ糖の色素を安定させる」ためです。有害菌が繁殖するとワイン果汁が濁ってしまい、黒ブドウ糖の色素が変色してしまうことがあります。そこで、酸化防止剤を添加することで有害菌の繁殖を抑え、黒ブドウ糖をツヤのある美しい色に安定することができます。
・高品質なワインづくりに酸化防止剤は必要
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以上3つの理由から、高品質のワインを作るためには、酸化防止剤が必要だといえます。酸化防止剤を添加することによって、ワインの酸化を防ぎ、有害菌の繁殖を抑えて素材本来の香りと味わい、ツヤのある美しい色を守るのです。
・記載がなくても酸化防止剤はほぼ全てのワインに入っている
酸化防止剤は、実はほぼすべてのワインに入っているのをご存じでしょうか。多くのワインに入っている亜硫酸塩は、アルコール発酵の過程で酵母によって10mg/L前後は自然発生します。しかし、ワイン作りにおいて亜硫酸塩の含有を表示する義務は10mg/Lなので、ラベルに記載がなくても、すべてのワインに亜硫酸塩が含まれているのです。
■酸化防止剤は健康に害がある?
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質の高いをワインを作るために、酸化防止剤は欠かせないものだということはお分かりいただけたと思います。では、酸化防止剤は私たちの健康に害を及ぼすのでしょうか。頭痛や二日酔いの原因になったり、アレルギーを発症したりといった指摘もありますが、はたして本当なのか、詳しく説明していきます。
・頭痛がするって本当?
まず大前提として、大量の酸化防止剤を体内に入れると健康に害があることは間違いありません。しかし、ワインに含まれる程度の量では、健康を害することはないといわれています。そのため、頭痛を引き起こす原因が酸化防止剤だと断定できないと考えられています。
・頭痛の原因になると思われる成分
最近では、ワインを飲んで頭痛が起こるのは別の物質が原因ではないかと考えられています。例えば「ヒスタミン」や「チラミン」はワインを作る工程で発生する物質で、これらの物質が持つ血管の拡張と収縮の作用が頭痛の原因になると考えられていますが、まだ完全に解明されていないのが実情です。
・亜硫酸塩ってアレルギーの原因になるの?
亜硫酸塩にアレルギーを持つ方は、少量でも蕁麻疹や腹痛、下痢、喘息などのアレルギー症状を引き起こすことがあるといわれています。ワインを飲んでこのような症状が出る原因は、亜硫酸塩アレルギーではないかという説もありますが、まだ解明には至っていません。
■酸化防止剤無添加のワインは何が違うのか
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ほぼすべてのワインに酸化防止剤が入っていることをお伝えしましたが、最近では「酸化防止剤無添加」をうたうワインが増えています。「酸化防止剤は健康に悪い」というイメージを持っている方にとっては、酸化防止剤が入っていないワインに対して安心感を持つようです。
では、酸化防止剤無添加ワインは、果たして安全なのでしょうか。また、どのように作られているのでしょうか。酸化防止剤使用のワインと何が違うのかなどを説明してきます。
・酸化防止剤無添加ワインが流行している
酸化防止剤無添加のワインは、主に日本の大手ワインメーカーから発売されており、スーパーなどで購入することができます。イメージ的に、亜硫酸塩を使用していないワインは評判が良く、価格も安いため日常的に飲みやすいワインとして広がっています。
・酸化防止剤無添加ワインの製法
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酸化防止剤無添加ワインの製法は、アセトアルデヒドの生成を抑えることと、ワインを酸化させないようにするなどを注意して作られています。たとえば、アセトアルデヒドの発生を抑制する酵母を使用したり、製造工程の中でワインを極力酸素に触れさせないように工夫したりしています。
・オーガニックワインとは違う?
酸化防止剤無添加ワインとオーガニックワインはまったく違います。オーガニックワインとはEUが定めるオーガニックワインの規定をクリアしているワインのことで、亜硫酸塩を使用してはいけないというルールはありません。つまり、オーガニックワインでも、酸化防止剤が一定量含まれているものがあるのです。
・酸化防止剤使用のワインとの味の違い
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酸化防止剤無添加のワインは、ほかのワインと味の違いはあるのでしょうか。一般的に、酸化防止剤無添加ワインは、酸化を防ぐために熟成する前の若い状態で出荷します。そのため、味わいや香りが酸化防止剤使用のワインに比べて弱いといわれています。ワインは、熟成によるコクのある味わいと香りが好きという意見もあれば、さっぱりと飲みやすい方が好きという意見もあるので、飲み比べて好みのワインを見つけるのがいいですね。
■酸化防止剤への誤解を捨て、ワインを楽しもう
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酸化防止剤は質の高いワインを作るために必要なものであり、健康に悪いといったイメージは単なる誤解であることがお分かりいただけたと思います。ほぼすべてのワインに亜流塩酸は含まれており、これはオーガニックワインも同様です。
頭痛や二日酔いを引き起こす原因も、酸化防止剤ではなという説が濃厚です。ワイン生産者は「安全・安心のワインを飲んでもらいたい」という想いから、ワインの味わいと香りを守るために、酸化防止剤をうまく使っているのです。
この記事をきっかけに、酸化防止剤への誤解を捨て、ワインを安心して楽しんでくださいね。
《参考》
・厚生労働省「食品添加物」
・J-STAGE「成人気管支喘息と食品アレルギー : 第3報亜硫酸塩(Sulfite)過敏症」
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