「ソムリエ」の仕事ってなんだ?ペアリングとマリアージュについて。
2021年3月10日 08:00
「ペアリング」「マリアージュ」最近ではよく聞くようになりましたね。レストランではコース料理をペアリングとともに楽しめるところも増えてきました。
なんでしょう「ペアリング」とは?
なんでしょう「マリアージュ」とは?
お肉にも赤身の牛肉もあれば、白肉と呼ばれる仔牛、鶏、豚もあります。香りが個性的な羊肉や鴨肉もあります。お魚にだって和牛のようにサシが入り脂が乗りまくったものや、タンパクで歯応えのある白身魚、鉄分が美味しい赤身のお魚、そして青魚もあります。さてさて、どんなワインを選んだら正解ですか?不正解はありますか?
ルールはありません。一つのセオリーにのっとれば基本はあります。しかしソムリエの趣向も味覚も様々ですし、お客様の趣向も味覚も様々です。つまり正解はないのです。不正解があるとすれば、まあ「これは合わないよね…」はあります。
お料理を活かせず、ワインも活かせない。
これではソムリエの役目は果たせていないでしょう。
そのお料理やワインをそれぞれ単品で召し上がるよりも、掛け合わせることでさらに美味しさを引き出すことが「ペアリング」「マリアージュ」の楽しさです。
基本的にはお好きなお料理にお好きなお酒で楽しでいただくのが一番かと。
お一人でのお食事でしたら特にです。フレンチにビールでも焼酎でも構いません。
ただですね、それが会食となると、少しお話は変わってきます。
ビジネス的なお食事であれば、ゲストとホストの関係性が生まれ「おもてなし」の要素が含まれてくるからです。西欧料理などでは本国のスタイル同様に「お食事をワインとともにお楽しみになりたい」というお客様が多くいらっしゃるので、ご希望に沿って、ワインの選び方、グラスに注ぐまでの技術、状態の見極め、などをサポートさせて頂きます。
お相手の好きな物をご用意してさしあげれば、お喜びになられるでしょうし、会話も弾むでしょう。そうなればお互いにメリットのある時間を共有することが出来るかもしれません。つまりはお互いのビジネスに繋がりやすくなります。
ソムリエがお役に立てるとすれば、日常の役割ですが、ゲスト様が「ワイン好き」であったた場合などワインのアドバイスをすることが出来ます。
お食事と共にお過ごしになるお時間全てにおいて、ホストに寄り添うこと、ゲストを喜ばせることに全力投球して差し上げることなどこちらもソムリエゆえにできる仕事かと思います。ワインのお話などにお付き合いすることでゲストのお話を引き出すこともできるかもしれません。お話好きな方でしたらテンションも上がり楽しく和やかな会食になるでしょう。堅苦しくなりがちなビジネス会食ですがゲスト様がお話しすることにより、ホスト側も知らない一面などを知ることが出来るかもしれません。
ビジネス会食においては、ホストはかなり気を使われるものです。「ゲストの機嫌を損ねないように…」という緊張感が伝わってくるテーブルも時々見受けられます。そんなテーブルを「ほぐして差し上げること」ができたなら、リラックスしてお料理も美味しく味わっていただけそうです。また予想外に「盛り上げてさしあげること」ができたならば、両者の深いコミュニケーションを演出でき、その会食をより有益なものへとサポートできそうです。
これはソムリエとしても、一人のギャルソンとしても、また大きくレストランとしても幸せなことであります。お料理だけでなく、サービスだけでなく、音楽も照明も、その空間の全てにおいて「おもてなし」をお届けできることが飲食業の幸せです。お店側のビジネスとして捉えてもありきたりではない「付加価値」をご提供できれば、その後のリピートへのメリットも大きいはずです。
ワインはその中の「ほんの一つのアイテム」でありソムリエはその時の「ほんの一つの役目」でしかありません。
アルコールを召し上がらないお客様だっていらっしゃいます。ビール党のお客様だっていらっしゃいます。「なんだ、ワインじゃないのか…」では「おもてなし」はできないのですね。もちろんワインに関して学んだ知識や感覚がありますから、ご披露できるシチュエーションがあれば楽しいのですが、ただワインが好きなだけで知識をひけらかしたいわけではないのですね。
どんな時でも一方通行ではどなたも幸せになれませんから。
「何をご提供したら喜ばれるのか?」それは物理的なお飲み物だけではなく「どのようにお過ごしいただくかをご提供する」そんなお仕事なのですね。
ゲストが喜べば、ホストも喜ぶ、みんなが喜べば、レストランも喜ぶ。レストランも含めそれぞれのビジネスが成り立ちます。会食自体もお料理もワインも実はその過程であり、求める目的は「おもてなし」の先にあります。そして全ての中心は「気持ち」でしか作り得ないのだと思います。
これはビジネスでも、友情でも、チームでも。
恋愛でも、親子でも、家族でも。
「プレゼントに頂いたけど…」とか「こだわって買ってみたけど…」とか、実はソムリエナイフ持ってます。という方もおられるのでは?
別に高価なナイフでなくても構いません。
現在お持ちの方も、これからご購入の方も、基本的なコルク栓の開け方をご説明して行こうと思います。
まず、スクリューがないとコルクは抜けません。スクリューにコルクを引っ掛けてテコの原理で抜く。要は単純にこれだけの作業です。難しく考えるのはやめましょう。
ポイントは「美しく仕上げること。」これは世の中のあれこれにおいて共通することだと思いますが、何かアクシデントがあっても「結果オーライ」に仕上げること、です。
ワインにおいては、「キャップシールを綺麗に剥がす」「コルクを折らない」この2点さえ踏まえれば美しく仕上がります。
それでは早速始めてみましょう。
1、まずナイフを起こしキャップシールを剥がします。ボトルにくぼみがありますので、そ
こにナイフを引っ掛けて時計回りに上半球を半周させます。
2、ナイフをクルッと回して刃の向きを変え、下半球を反時計回りに。一周に刃が入ってい
ればOKです。
3、次は縦にナイフを入れます。ここが慣れないと少し難しいのですが、この動作をスムー
ズにこなすことで、意外と「プロっぽさ」が出ます。
4、刃が入ったらトップの部分に並行にナイフを滑らせ、持ち上げれば簡単にキャップシールが剥がれます。
5、コルクがむき出しになりました。ナイフを倒し先端を真ん中に押し当てます。少し力を
入れてそのままナイフを立てれば、綺麗にセンターにスクリューが刺さるはずです。
6、センターに決めることが大切で、あまりにズレてしまうとコルクが折れやすくなります。年代物のワインでない限り、センターに刺さっていればコルクは折れません。
7、ボトルをしっかりと握りナイフを時計回りに回せばスクリューが下へと刺さってゆきます。スクリューを少し残し、回転を止めテコの金具をボトルの口に引っ掛けます。
8、その引っ掛けたポイントに人差し指と中指を2本掛けて、薬指と小指はボトルをにぎります。
9、ナイフをゆっくり立てて行くと、簡単にコルクが上がってきます。一度にたくさん抜こうとせずに、2~3回にわけて引き上げると力加減も掴めてくるはずです。
ヴィンテージの若いワイン、つまり現在に近いワインですとほとんどコルクが折れることはありませんが、ナイフを立てたときにかける力の向きを前に倒してしまいますと、ボトルの口が支点になり中に残ったコルクが悲鳴をあげます。
フックの稼働部を支点にして力の向きはスクリューと並行に「前ではなく、上に」です。
わかりにくければ「スクリューを倒さずスクリューは上に」
10、最後はテコで抜き切ろうとすると、力が向こう側にスッポ抜けるので、不安定な動きになりボトルを倒してしまったりします。ナイフがある程度上がり切り、テコを使い切ったら、親指を下に向けてナイフとコルクを一緒に握り、親指でボトルを下に押しながら、反対の手はボトルを握りつつ親指でコルクを上に押してあげます。コルク軽く回してあげれば静かにコルクが抜けるはずです。
11、そしてその手からコルクは離さず、コルクの液体側を鼻に近づけます。反対の手で鼻の前を覆い、香りを取ります。これ上級者っぽく見えますので是非。そしてこの動作は大切なワインの状態チェックです。鼻の前を覆うのはお上品に見えるからです。特に決まりはありません。
カビ臭かったり、蒸れた匂い、異常にコルクの香りがする、そんな時はワインに問題があるかもしれません。ワインの異常のことを「ブショネ」と言います。「あぁ、このワインは残念ながらブショネですね…」的な使い方をします。ヴィンテージの若いワインにはほとんど見受けられません。
この後はグラスに注ぎテイスティングをします。状態の確認です。一口分の少量のワインを注ぎ、スワリングします。反時計回りに3回ほどワインを回します。手首を軸にしてグラスの一番上を回す感覚で動かすと、うまく液体がグラスの中で回転します。反時計回りで回すのは、回しすぎてワインがグラスから飛び出しても、目の前の人ではなく自分にかかるからだそうです。
その後で遠くを見ながらグラスのワインを嗅ぎ、そして口に含みます。口の中にワインを巡らせ味とワインの開き具合を確認しているフリをしてください。
ここで遠くをを見ることがポイントです。プロっぽく見えますから。私のプロフィールがまさにそれです。プロっぽく見えます。そして「うん、フルーティだね」と言えば間違いありません。だって果実酒ですから。
これは私が「営業マン経歴10年」という異色の経験を持った変態ソムリエだから特にそう感じるのかもしれませんが、お勧めした物をご購入いただくには、いや、ご購入頂きたい物をおすすめするには、お伝えした事をご納得いただくこと、お伝えしている人を受け入れていただくこと、この2点に尽きると思います。
一歩通行の説明では提供側の自己満足にもなり得ます。お客様の隠れたご要望も吸い上げられず、一方的な説明では購買意欲は生まれません。それはワインにおいてのボトル選びでも、お食事のコース選びでも同じであると思います。
いかにスムーズに「じゃあ、それで!」と言っていただくか。
距離感を縮めること、信頼を得ることにプラスして、シンプルな説明でメリットと比較をお伝えし選択肢を明確にすることで決断をしやすくなります。
熟考したい方なのか、すぐに決めたい方なのか、ホストとしてゲストをもてなしたい方なのか、色々なタイプのお客様がおられます。そしてそれに寄り添う時間の中で、全てを質問で聞き出すのではなく「お客様の隠れたご要望」をいかにお察しして差し上げられるか、ここがそのお店の付加価値になるのではないでしょうか。
付きすぎず、離れすぎず、入り込みすぎない程度に「お客様のお気持ちに入ってゆくこと」がホスピタリティなんだと思います。
私が飲食業に関わってきて、面白いな、と思うことは「食は人を元気にさせる」という化学反応です。もちろん栄養価の分野も然りですが、ホスピタリティの語源も、レストランの語源も、それぞれが人を癒す場所から始まっています。
「食でみんなを笑顔にしたい」
「食で人を笑顔にできる人を増やしたい」
一方通行ではない、お互いの「気持ち」を尊重すること、心で見つめ合える関係を少しでも広げらること、それが出来たならば、幸せは膨らむ気がします。
大切な人との気持ちは、どんなお料理だって、どんなワインだっていつだってマリアージュが可能です。
なんでしょう「ペアリング」とは?
なんでしょう「マリアージュ」とは?
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■ワインの合わせ方に「正解」はない
ついつい「肉には赤、魚には白」みたいな既成概念的ルールに縛られて、自由に楽しめてない、なんてことはありませんか?お肉にも赤身の牛肉もあれば、白肉と呼ばれる仔牛、鶏、豚もあります。香りが個性的な羊肉や鴨肉もあります。お魚にだって和牛のようにサシが入り脂が乗りまくったものや、タンパクで歯応えのある白身魚、鉄分が美味しい赤身のお魚、そして青魚もあります。さてさて、どんなワインを選んだら正解ですか?不正解はありますか?
ルールはありません。一つのセオリーにのっとれば基本はあります。しかしソムリエの趣向も味覚も様々ですし、お客様の趣向も味覚も様々です。つまり正解はないのです。不正解があるとすれば、まあ「これは合わないよね…」はあります。
お料理を活かせず、ワインも活かせない。
これではソムリエの役目は果たせていないでしょう。
そのお料理やワインをそれぞれ単品で召し上がるよりも、掛け合わせることでさらに美味しさを引き出すことが「ペアリング」「マリアージュ」の楽しさです。
■「おもてなし」の要素
実は鶏肉や豚肉にとてもよく合う白ワインもありますし、お魚に合う赤ワインだってあります。また調理法や味付けによっては美味しくいただける意外な組み合わせもあります。基本的にはお好きなお料理にお好きなお酒で楽しでいただくのが一番かと。
お一人でのお食事でしたら特にです。フレンチにビールでも焼酎でも構いません。
ただですね、それが会食となると、少しお話は変わってきます。
ビジネス的なお食事であれば、ゲストとホストの関係性が生まれ「おもてなし」の要素が含まれてくるからです。西欧料理などでは本国のスタイル同様に「お食事をワインとともにお楽しみになりたい」というお客様が多くいらっしゃるので、ご希望に沿って、ワインの選び方、グラスに注ぐまでの技術、状態の見極め、などをサポートさせて頂きます。
お相手の好きな物をご用意してさしあげれば、お喜びになられるでしょうし、会話も弾むでしょう。そうなればお互いにメリットのある時間を共有することが出来るかもしれません。つまりはお互いのビジネスに繋がりやすくなります。
ソムリエがお役に立てるとすれば、日常の役割ですが、ゲスト様が「ワイン好き」であったた場合などワインのアドバイスをすることが出来ます。
お食事と共にお過ごしになるお時間全てにおいて、ホストに寄り添うこと、ゲストを喜ばせることに全力投球して差し上げることなどこちらもソムリエゆえにできる仕事かと思います。ワインのお話などにお付き合いすることでゲストのお話を引き出すこともできるかもしれません。お話好きな方でしたらテンションも上がり楽しく和やかな会食になるでしょう。堅苦しくなりがちなビジネス会食ですがゲスト様がお話しすることにより、ホスト側も知らない一面などを知ることが出来るかもしれません。
ビジネス会食においては、ホストはかなり気を使われるものです。「ゲストの機嫌を損ねないように…」という緊張感が伝わってくるテーブルも時々見受けられます。そんなテーブルを「ほぐして差し上げること」ができたなら、リラックスしてお料理も美味しく味わっていただけそうです。また予想外に「盛り上げてさしあげること」ができたならば、両者の深いコミュニケーションを演出でき、その会食をより有益なものへとサポートできそうです。
これはソムリエとしても、一人のギャルソンとしても、また大きくレストランとしても幸せなことであります。お料理だけでなく、サービスだけでなく、音楽も照明も、その空間の全てにおいて「おもてなし」をお届けできることが飲食業の幸せです。お店側のビジネスとして捉えてもありきたりではない「付加価値」をご提供できれば、その後のリピートへのメリットも大きいはずです。
ワインはその中の「ほんの一つのアイテム」でありソムリエはその時の「ほんの一つの役目」でしかありません。
■「ソムリエ」の仕事
「ソムリエ=ワイン」ではないのですね。これはソムリエ資格試験の試験範囲である、A4サイズで厚さ5cmほどの電話帳のような教本の中にも「お客様が楽しくお食事ができるようにサポートする仕事」と明記されています。アルコールを召し上がらないお客様だっていらっしゃいます。ビール党のお客様だっていらっしゃいます。「なんだ、ワインじゃないのか…」では「おもてなし」はできないのですね。もちろんワインに関して学んだ知識や感覚がありますから、ご披露できるシチュエーションがあれば楽しいのですが、ただワインが好きなだけで知識をひけらかしたいわけではないのですね。
どんな時でも一方通行ではどなたも幸せになれませんから。
「何をご提供したら喜ばれるのか?」それは物理的なお飲み物だけではなく「どのようにお過ごしいただくかをご提供する」そんなお仕事なのですね。
ゲストが喜べば、ホストも喜ぶ、みんなが喜べば、レストランも喜ぶ。レストランも含めそれぞれのビジネスが成り立ちます。会食自体もお料理もワインも実はその過程であり、求める目的は「おもてなし」の先にあります。そして全ての中心は「気持ち」でしか作り得ないのだと思います。
これはビジネスでも、友情でも、チームでも。
恋愛でも、親子でも、家族でも。
■ワインの開け方
今日はワインオープナー、いわゆるソムリエナイフを使ったワインの抜栓(ばっせん)の仕方をご説明します。「プレゼントに頂いたけど…」とか「こだわって買ってみたけど…」とか、実はソムリエナイフ持ってます。という方もおられるのでは?
別に高価なナイフでなくても構いません。
現在お持ちの方も、これからご購入の方も、基本的なコルク栓の開け方をご説明して行こうと思います。
まず、スクリューがないとコルクは抜けません。スクリューにコルクを引っ掛けてテコの原理で抜く。要は単純にこれだけの作業です。難しく考えるのはやめましょう。
ポイントは「美しく仕上げること。」これは世の中のあれこれにおいて共通することだと思いますが、何かアクシデントがあっても「結果オーライ」に仕上げること、です。
ワインにおいては、「キャップシールを綺麗に剥がす」「コルクを折らない」この2点さえ踏まえれば美しく仕上がります。
それでは早速始めてみましょう。
1、まずナイフを起こしキャップシールを剥がします。ボトルにくぼみがありますので、そ
こにナイフを引っ掛けて時計回りに上半球を半周させます。
2、ナイフをクルッと回して刃の向きを変え、下半球を反時計回りに。一周に刃が入ってい
ればOKです。
3、次は縦にナイフを入れます。ここが慣れないと少し難しいのですが、この動作をスムー
ズにこなすことで、意外と「プロっぽさ」が出ます。
4、刃が入ったらトップの部分に並行にナイフを滑らせ、持ち上げれば簡単にキャップシールが剥がれます。
5、コルクがむき出しになりました。ナイフを倒し先端を真ん中に押し当てます。少し力を
入れてそのままナイフを立てれば、綺麗にセンターにスクリューが刺さるはずです。
6、センターに決めることが大切で、あまりにズレてしまうとコルクが折れやすくなります。年代物のワインでない限り、センターに刺さっていればコルクは折れません。
7、ボトルをしっかりと握りナイフを時計回りに回せばスクリューが下へと刺さってゆきます。スクリューを少し残し、回転を止めテコの金具をボトルの口に引っ掛けます。
8、その引っ掛けたポイントに人差し指と中指を2本掛けて、薬指と小指はボトルをにぎります。
9、ナイフをゆっくり立てて行くと、簡単にコルクが上がってきます。一度にたくさん抜こうとせずに、2~3回にわけて引き上げると力加減も掴めてくるはずです。
ヴィンテージの若いワイン、つまり現在に近いワインですとほとんどコルクが折れることはありませんが、ナイフを立てたときにかける力の向きを前に倒してしまいますと、ボトルの口が支点になり中に残ったコルクが悲鳴をあげます。
フックの稼働部を支点にして力の向きはスクリューと並行に「前ではなく、上に」です。
わかりにくければ「スクリューを倒さずスクリューは上に」
10、最後はテコで抜き切ろうとすると、力が向こう側にスッポ抜けるので、不安定な動きになりボトルを倒してしまったりします。ナイフがある程度上がり切り、テコを使い切ったら、親指を下に向けてナイフとコルクを一緒に握り、親指でボトルを下に押しながら、反対の手はボトルを握りつつ親指でコルクを上に押してあげます。コルク軽く回してあげれば静かにコルクが抜けるはずです。
11、そしてその手からコルクは離さず、コルクの液体側を鼻に近づけます。反対の手で鼻の前を覆い、香りを取ります。これ上級者っぽく見えますので是非。そしてこの動作は大切なワインの状態チェックです。鼻の前を覆うのはお上品に見えるからです。特に決まりはありません。
カビ臭かったり、蒸れた匂い、異常にコルクの香りがする、そんな時はワインに問題があるかもしれません。ワインの異常のことを「ブショネ」と言います。「あぁ、このワインは残念ながらブショネですね…」的な使い方をします。ヴィンテージの若いワインにはほとんど見受けられません。
この後はグラスに注ぎテイスティングをします。状態の確認です。一口分の少量のワインを注ぎ、スワリングします。反時計回りに3回ほどワインを回します。手首を軸にしてグラスの一番上を回す感覚で動かすと、うまく液体がグラスの中で回転します。反時計回りで回すのは、回しすぎてワインがグラスから飛び出しても、目の前の人ではなく自分にかかるからだそうです。
その後で遠くを見ながらグラスのワインを嗅ぎ、そして口に含みます。口の中にワインを巡らせ味とワインの開き具合を確認しているフリをしてください。
ここで遠くをを見ることがポイントです。プロっぽく見えますから。私のプロフィールがまさにそれです。プロっぽく見えます。そして「うん、フルーティだね」と言えば間違いありません。だって果実酒ですから。
■もう一つのポイント
もう一つマリアージュにポイントがあるとしたら、それは「説明」を含むトークも大切な要素です。ワインに限ったことではありませんが、物に対する興味や価値は「解説者」の役割がとても大きいと思います。これは私が「営業マン経歴10年」という異色の経験を持った変態ソムリエだから特にそう感じるのかもしれませんが、お勧めした物をご購入いただくには、いや、ご購入頂きたい物をおすすめするには、お伝えした事をご納得いただくこと、お伝えしている人を受け入れていただくこと、この2点に尽きると思います。
一歩通行の説明では提供側の自己満足にもなり得ます。お客様の隠れたご要望も吸い上げられず、一方的な説明では購買意欲は生まれません。それはワインにおいてのボトル選びでも、お食事のコース選びでも同じであると思います。
いかにスムーズに「じゃあ、それで!」と言っていただくか。
距離感を縮めること、信頼を得ることにプラスして、シンプルな説明でメリットと比較をお伝えし選択肢を明確にすることで決断をしやすくなります。
熟考したい方なのか、すぐに決めたい方なのか、ホストとしてゲストをもてなしたい方なのか、色々なタイプのお客様がおられます。そしてそれに寄り添う時間の中で、全てを質問で聞き出すのではなく「お客様の隠れたご要望」をいかにお察しして差し上げられるか、ここがそのお店の付加価値になるのではないでしょうか。
付きすぎず、離れすぎず、入り込みすぎない程度に「お客様のお気持ちに入ってゆくこと」がホスピタリティなんだと思います。
私が飲食業に関わってきて、面白いな、と思うことは「食は人を元気にさせる」という化学反応です。もちろん栄養価の分野も然りですが、ホスピタリティの語源も、レストランの語源も、それぞれが人を癒す場所から始まっています。
「食でみんなを笑顔にしたい」
「食で人を笑顔にできる人を増やしたい」
一方通行ではない、お互いの「気持ち」を尊重すること、心で見つめ合える関係を少しでも広げらること、それが出来たならば、幸せは膨らむ気がします。
大切な人との気持ちは、どんなお料理だって、どんなワインだっていつだってマリアージュが可能です。
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