いちじくの旬は2回?種類別に食べ頃時期からおすすめの食べ方まで紹介
2021年3月19日 10:00そんないちじくには豊富な栄養素が含まれており、さまざまな品種が数多く存在します。今回は、いちじくの栄養素、レシピをご紹介します。ぜひ、最後までご覧ください!
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■いちじくに関する豆知識
・長い歴史をもついちじく
いちじくは現在のイラク周辺で6000年以上前から栽培されていたとされています。古代エジプトの壁画に描かれ、旧約聖書の中では、最初の人類である、アダムとイブが身体を隠す腰ミノを作るのにいちじくの葉を使ったという逸話があるほど、歴史が古く、多くの人に親しまれてきました。
その後は、地中海沿岸地方へ広がり、日本へは江戸時代に中国から伝わったとされています。栄養価の高さから最初は薬として、葉と共に扱われていましたが、その後は現在のように果物として広く食べられるようになったと言われています。
・いちじくという名前の由来
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「いちじく」という名の由来には諸説あります。まず、中国から日本に伝わった際に、中国での「映日果(エイジツカ)」という呼び方が訛って「いちじく」と伝わった説。次の説が、1日1個ずつ熟す(または1ヶ月で熟す)から「一熟」という名のついた説の2つがあります。
・食用部分は果実ではない
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いちじくは漢字で「無花果」と書きます。名の通りいちじくは、ほかの植物のように花を咲かせることはありません。ではどのような仕組みなのかというと、いちじくの実は、内側が空洞のある袋状になっていて、その内側に小さな花をたくさんつけるのです。つまり、普段皆さんが口にする実の部分がいちじくの花にあたることになります。
なぜこのようなかたちに進化したのか、その理由には「イチジクコバチ」という蜂が大きく関わっています。この蜂は、いちじくの雄花のおしりにある小さな穴から入り込んで、中に卵を産むという性質があります。卵が孵化した後、蜂の幼虫は成虫になるまでいちじくの中で過ごします。成虫になったイチジクコバチは体に花粉をたっぷり付けた状態でいちじくの中から出てきて、ほかのいちじくに産卵をしていきます。このときに体についた花粉をいちじくの花につけるので、いちじくは受粉をすることができるのです。
・栄養素がいっぱい
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先ほどもご紹介しましたが、いちじくには「不老不死の果実」とも呼ばれるほど、豊富な栄養素が含まれているのが特徴です。
水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と油に溶けやすい「不溶性食物繊維」の2種類の食物繊維をはじめ、塩分を排出し体内のさまざまなバランスを調整する期待のある「カリウム」。また、骨を形成するのに必要と言われている「カルシウム」、貧血防止も望める「鉄」など健やかな身体作りに必要な栄養素がギュッと含まれています。
ちなみに、カロリーと糖質量ですが、リンゴやブドウに比べて比較的低いのも特徴。ダイエットの際のおやつとして取り入れるのもおすすめです。
■いちじくの旬と品種について
・夏のいちじくと秋のいちじくの違い
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いちじくの収穫時期は長く、8月頃から10月頃までとされています。旬のはしりになる、6月頃から7月頃に採れる品種を「夏果」。私たちが主に口にしている8月頃から10月頃までに採れる品種を「秋果」と呼びます。また、初夏と秋の両方で実がなる品種もあります。
・青いちじく
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青いちじくは夏果の品種が多く、果皮はきれいなグリーンをしているのが特徴です。青いちじくの味は初夏の季節に相応しく、秋ごろに収穫されるいちじくに比べてさっぱりとした甘さがあります。なので、淡白な魚料理の付け合わせや、フルーツサラダと合わせると料理をより一層引き立ててくれます。代表的な品種として日本国内で最も出回っている「桝井ドーフィン」が挙げられます。
・白いちじく
白いちじくは夏から秋にかけて長く楽しむことができます。白いちじくの果皮は鮮やかな黄緑色をしているものや茶色に色付く品種、名の通り真っ白な果皮をもつ品種などさまざまです。青いちじくよりも酸味が少なく、ねっとりした濃厚な甘みが特徴。
生ハムやチーズと合わせると、それぞれの塩味と甘味がうまく引き立ちます。白いちじくの代表的な品種として、「バナーネ」や「キング」が挙げられます。
・黒いちじく
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黒いちじくは秋果の品種で、フランスで産まれた「ビオレソリエス」というのが主な品種です。国内で限られた生産者しか栽培していないため、普段はめったにお目にかかることはなく「幻の黒いちじく」と呼ばれることもあります。
黒いちじくの果皮は名の通り全体的に黒紫色をしています。糖度は品種のなかではトップレベルで、ねっとりした甘さは「いちごジャムのようだ」と表現されることもあります。
・いちじくの主な産地と生産量
いちじくの生産量の1位は「愛知県」で、国内シェアの約20%を占めています。続いては「和歌山県」となっています。愛知県が国内シェア1位となった背景には、温暖な気候と明治用水を利用した豊かな水利があり、平地が多い地形というのもあるようです。2位の和歌山県では、県内で収穫されたいちじくなど8種類の果汁とシロップを混ぜた「わかやまサイダー」が人気のようです。
・日本で一番流通されている品種
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日本で最も多く出回っている品種は、先ほどもご紹介した「桝井ドーフィン」です。明治時代にアメリカから伝った桝井ドーフィンは、当時、国内で主に生産されていた蓬莱柿(ほうらいし)に比べて一度の収穫量多く、果実も大きく育ちます。また、果皮がほかの品種に比べてしっかりしているため、輸送の際に果実が傷つきにくい特徴などから、その後全国に一気に広まりました。
桝井ドーフィンは夏秋の二回収穫ができます。夏果と秋果では大きさや味わいに差が出やすいと言われており、一般的には夏果の方が冬に蓄えられた栄養のおかげで果実が大きく育ち、味もいいとされています。
そのほか、出回っている品種としては「蓬莱柿」や「とよみつひめ」が挙げられます。近年は海外からの品種の栽培も増えており、市場の多種多様化が進んでいます。
■おいしいいちじくの見分け方
・見ための変化
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いちじくは完熟すると、果頂部というお尻の部分がぱっくりと割れてくる特徴があります。裂け目ができ初め、中の紅い花が見えているくらいがベストなタイミングです。ほかには、表皮にハリがあり、傷がないものなども旬を見分けるコツです。
また、鮮度の良いいちじくを見分けるにヘタの切り口を見るという方法があります。
いちじくの実を切ると、軸からいちじくの樹液である白い液体が出てきます。収穫したてのいちじくにはまだ樹液が残っているため、ヘタの切り口がまだみずみずしければ、そのいちじくはまだ新鮮ということになります。
・色の特徴
実の色で熟しているか見分けるという方法もあります。桝井ドーフィンなどの実が赤紫色になる品種では、なるべく全体が色づいているものがほどよく熟している印。スーパーなどで黄緑色が目立つものが並んでいる場合は、なるべく色味の濃いものを選ぶといいですよ。また、蓬莱柿のようにあまり色づかない品種もあります。その場合は、お尻の部分の割れ具合で選ぶようにするといいでしょう。
・香り・味の特徴
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いちじくは熟すと特有の甘い香りがします。なので、なるべく香りの良いものを選びましょう。しかし果肉が柔らかすぎる場合は熟しすぎている場合があるので注意が必要です。
・表面
「パナーネ」などの白いちじくは熟しても色が黄緑色のままほとんど変化がありません。そういった品種を見分けるには、いちじくの表面がやわらかく、十分に熟しているかどうかが重要です。ぶよぶよとやわらかすぎるものではなく、ハリのあるやわらかさが特徴です。また、いちじくは少しの衝撃で傷がついてしまいます。店頭などで確認するときは、やたらに刺激しないようにしましょう。
・完熟した果実の特徴
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完熟したいちじくは果頂部の裂け目が大きく、強い香りと、実が柔らかくなって今にも崩れそうな見た目をしていることが多いです。ですが、ここまで熟してしまうと、実を傷つけずに輸送するのが難しくなり日持ちもあまりしないことから、スーパーで見かけるいちじくは完熟前のものがほとんどだそうです。中には、完熟したいちじく特有のジャムのような濃厚な甘みを求めて、完熟いちじくを農家から直接仕入れる方もいるそうです。
・未熟なものは追熟する?
果物の中には、バナナのように収穫してから一定期間眠らせることでより甘みを出す「追熟」ができるものがありますが、いちじくは「追熟できない」部類に入ります。また先ほど紹介したとおり、スーパーには、あえて完熟を外したいちじくが売られています。なので、購入前にはしっかりと食べごろかどうか、特徴を踏まえて見分けるようにしましょう。
■旬のいちじくを味わう食べ方6選
・そのまま食べる
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素材の味を味わうには、やはりそのまま食べるのがおすすめです。いちじくの表皮には細かい毛がありますが、塩で表面をこすって洗えばそのまま食べることができます。完熟したいちじくなどは皮が柔らかく、そのまま食べることも多いそうです。
皮をとって食べる場合は、まず、いちじくのヘタを曲がっている方と反対側に剥いでいきます。ゆっくりと片側が剥けたら反対側も同じように皮を剥いでいきます。お尻に残った皮が気になる方は包丁などで取り除くとよいでしょう。
また、皮が青く表皮も硬いいちじくは包丁をつかって皮を剥いていきます。包丁で皮を剥くときは、まず、ヘタを切り落とします。残った実をくし切りして、後はヘタの方から包丁をいれて皮を剥いていきましょう。
・ドライいちじく
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野菜や果物は乾燥させると、日光による紫外線の作用や、水分が抜けることで、ミネラルなどの栄養素が増えるとされています。それはいちじくも例外ではなく、ドライいちじくは生いちじくよりも「カリウム」「カルシウム」「食物繊維」などが増えることが期待されています。
中でもドライいちじくは、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」と水に溶けやすい「水溶性食物繊維」の2種類の食物繊維を併せ持っているので、腸内環境の改善、コレステロール低下に期待効果があるとされており、美容業界などで大きく注目を浴びています。
また、乾燥させることで、日持ちもしてグッと持ち運びやすくなります。食感が固くなることで自然とよく噛むようになるので、少量でも満足できるダイエット中のおやつとしてもおすすめです。
・冷凍いちじく
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足の速いいちじくは、冷凍保存して食べるというのもおすすめです。冷凍してしまうと生いちじくと食感は変わってしまいますが、コンポートのような柔らかい食感になります。
保存するときは、一度皮のまま水洗いしたいちじくの水気を、ペーパータオルなどでよく水気を拭き取ってラップに包み、保存袋に入れて口を閉じて冷凍庫に保存します。
食べるときは、凍ったままのいちじくを取り出して、お尻に薄く十字の切れ目を入れます。切れ目にあたるように流水を当て、切れ目を手でこすると皮がするりと剥けます。皮が剥けたら、そのまま5分ほど置いて一口大に切って食べます。そのままだと、シャーベットのようなシャリシャリした食感で、さらに5分ほど置いて完全に解凍するとコンポートのようなトロっとした食感になります。
・サラダ
優しい甘さのいちじくはサラダとの相性が抜群です。おすすめは、グリーンリーフに、生ハムやお好みのチーズ、ナッツなど少し塩味の効いた食材と、主役の一口大にカットしたいちじくを盛りつけたコールドサラダ。トッピングの塩味が、いちじくの優しい甘さを引き立ててくれます。ドレッシングには少量のバルサミコ酢やオリーブオイルなどがおすすめです。
淡いオレンジの実の部分をよく見えるように盛り付けるなど、少し食材の切り方や盛り付け方を工夫するだけで、お洒落なおもてなしサラダになるので女子会などにもぴったりです。
材料(2人分)
イチジク2個
ベーコン2枚
ベビーリーフ1袋
<ドレッシング>
・バルサミコ酢大さじ1
・オリーブ油大さじ1
・塩少々
下準備
イチジクは皮をむいてくし切りにする。ベーコンは幅1cmに切る。
作り方
手順1:フライパンにベーコンを入れて弱火で熱し、脂が出てカリカリになるまでじっくり炒める
手順2:ボウルに<ドレッシング>の材料を混ぜ合わせ、イチジクと(1)を脂ごと加えて和える。ベビーリーフを入れた器に盛り合わせる
・コンポート
ヨーロッパの伝統的な保存食であるコンポートはリンゴや桃がポピュラーですが、いちじくもおすすめです。ここで、簡単な「いちじくのコンポート」の作り方をご紹介します。
イチジクのコンポートアイス添え
材料(2人分)
<コンポート(作りやすい量)>
・イチジク4~5個
・白ワイン(甘口)300~400ml
・グラニュー糖大さじ3
・ハチミツ大さじ1
・シナモンスティック2本
・レモン(輪切り)4枚分
バニラアイス適量
ミントの葉適量
下準備
イチジクは皮ごと水洗いして水気を拭き取り、軸側に切り込みを入れる。
作り方
手順1:ステンレス、またはホウロウの鍋に<コンポート>のイチジク以外の材料を入れ、強火で熱して煮たたせる
手順2:イチジクを加え、再び煮たったら紙の落とし蓋をして弱火にし、15~20分ゆっくり煮る
手順3:シロップごとボウル、または保存袋に入れ、粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やす。器にバニラアイスと共に盛り合わせ、ミントの葉を飾る
・いちじくのタルティーヌ
ハチミツとゴルゴンゾーラは相性ピッタリ。季節の果物を使った前菜はおもてなしにもおすすめです。
材料(2人分)
バゲット15cm
イチジク1~2個
ゴルゴンゾーラチーズ(ドルチェ)適量
ハチミツ適量
作り方
手順1:バゲットを縦半分に切る
手順2:くし切りにしたイチジク、ゴルゴンゾーラチーズをのせてトースターで軽く焼き、ハチミツをたらす
■栄養満点ないちじくを食べよう
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いちじくは、いちごや桃のようにあまりポピュラーなイメージはないかもしれませんが、長い歴史の中で、世界中で親しまれてきたことがわかりました。これから秋が深まれば「秋果」のいちじくをスーパーで見かけることが増えてくることも多いかと思いますので、ぜひ今回の記事を参考にして、旬のいちじくを楽しんでくださいね!
《参考》
・文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
・イチジク(無花果)|とれたて大百科|野菜の力をもっと知る|JAグループ
・カリウム | e-ヘルスネット(厚生労働省)
・カルシウム | e-ヘルスネット(厚生労働省)
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