エッセイスト・犬山紙子さんのために選んだ一冊とは?/木村綾子の『あなたに効く本、処方します。』

 

でね、その“解釈”ってのが、ぶっ飛んでて最高なの!」
犬山「ここにも啄木が出てくるんだ?」
木村「啄木も出てくるけど、さっきの『石川くん』を気に入ってくれたなら、他の文豪にもヒプマイ味を感じてもらえるかもしれないという期待を込めて」
犬山「夏目漱石、森鴎外、坪内逍遥、泉鏡花、「蒲団」に「こころ」「三四郎」……って、名作だらけだ……」
木村「それだけ見ると敬遠しちゃうのはわかるんだ。でもね、この本読めば、教科書に載ってるような偉大な作家さんにも、私たちと同じようにちゃんと生活があって、ダメだったり情けなかったり欲にまみれてたり、人間臭い部分がめちゃくちゃあったんじゃん!っていうのがわかって、すごく身近に感じられるよ。名作って言われてるものも、そういう生活のなかで生まれたものだってわかると、私たちの生きる現代と地続きにあるものだって感じられるし」
犬山「なるほど、ハードル下げてくれるんだね」
木村「ちょっとこれ見てみてよ!啄木がローマ字で日記を書いてたことは知ってる?うだつの上がらなかった日々をローマ字で書いたのは、愛する妻が読んで傷つかないように。と本人は言ってて、屈指の日記文学にもなってるの。これだけ聞くと美談じゃない?」
犬山「うんうん」
木村「でも実際にはめっちゃ浮気してたこと書いてるから(笑)。原典は文語だからそこまでサイテー感が伝わってこないんだけど、これが高橋版「ローマ字日記」として紐解かれると…。伝言ダイヤルで女性誘って、「109」前で待ち合わせして会ったけど顔がブサイクでお金無駄にしたとかって、まさに今日渋谷で起きててもおかしくない臨場感が出るわけよ」
犬山「サイテーだ(笑)」
木村「あと、新刊が発売されたときの読者の反応が、インターネットの掲示板風に描かれてたり、漱石が途中で胃潰瘍になるシーンではリアルな胃カメラの写真が添えられてたりして「エッ!」ってなるからね」
犬山「「漱石こんな胃してたんだ」って思いを馳せながら読み進められるわけね」
木村「実際には高橋さん自身の胃の写真なんだけどね。歴史に名を残してる大作家さんを揶揄しながらも、とにかく文学をおもしろがらせるための仕掛けが満載なの。私はこれを読んで、文学研究ってこんなに自由なんだって思わされたんだ」

犬山さんのお悩み、その2。

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2020年1月22日今日の献立

寒い日の夕食に。基本の和食を取り入れた献立です。

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