愛あるセレクトをしたいママのみかた

山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第8回

 

打った文字を消して、頃合いを見計らってもう一度打ち直してくれたのかもしれない。その人の人間力を感じると共に、曲を流している間とはいえ脊髄反射的に連絡してしまった自分の軽率さを恥じる出来事だった。

そして私はもう一つ、その人と接するようになって気づいたことがある。優しい人は、感情が揺らぎそうになった時ほど黙って距離を置こうとするし、滅多に心を開かない。その人の不調を察して連絡をしても、向こうから返事が戻ってくるときは決まって「大丈夫になった」という事後報告だ。私だけではなく、何人かいる共通の知人の誰も知らないうちに、一人で抱えて、一人で決断して、一人で解決しようとする。
優しいと思っていたあの行動は、優しくあろうと努めた行動だった。誰からも好かれる柔らかな笑顔は、弱さを悟られないための頑なな笑顔だった。そうすることで、今まで経験してきた数々のことを自分の内側で片付けて、他者への優しさに変換してきたのかもしれない。だからずっと「優しい人」だし、無理をさせてしまっている自分も悪いのだけど、孤独や弱さを秘めた圧倒的な優しさに、何度も救われていることは忘れたくない。そしてその優しさを、私は守りたいと思った。

新型コロナウイルスの蔓延を境に、その人とはなかなか会えなくなってしまった。また会える日まで、そしてその先も、私はパーソナリティとしてマイクの前に座り続ける。生放送は編集を通らずにそのまま電波に乗ってしまうので、それをほぼ毎日やっていくということは、裸の心を晒しているようなものだ。顔が見えないからといって良く思われようとするのは無駄だが、顔が見えないからこそ互いを想い、信頼を築けることもある。そう信じて、SNSで本音を小出しにするのではなく、言いたいことはラジオの中で言うようになった。どうしようもない現実にくすぶったり、どうでもいい話に声が出なくなるほど笑ったりもしている。誰にも理解されないだろうと思って打ち明けた偏愛にリスナーが共感してくれると、エンジンがかかって自分でも知らない自分の妙な一面が露わになる。そんな放送を聴かれていると思うと、なんだか恥ずかしい。

本当は今も、話すことが時々怖くなる。ありのままでいることは恐ろしくない。言葉をうまく組み合わせないと許されない社会が恐ろしいのだ。正しさばかりを追求してはいられないし、気の利いた言葉は口にできない。
では、「何を喋るのかが知性で、何を喋らないのかが品性」という名言めいた誰かのセリフが真実なのだとしたら。喋りを仕事にしている自分は、どんな状況であっても言葉選びをおろそかにしない姿勢に品性を宿らせたい。その願いはいつか、その人や、その人のような思慮深く優しくあろうと努めている人の心を、少しでも守ることができるだろうか。



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